惰眠日記neo

漫画アニメ関連のイベント・ライブが主です。たまに交通関係も書いています

講談社メチエ 青木健著「マニ教」

たまには歴史関係の本も紹介。昨年出版された「マニ教」の本が実に面白い。今まで分かりやすい一般向けの本など無かった「マニ教」関連書が講談社メチエより出版されています。

http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2584867

>内容紹介
>キリスト教がもっとも恐れた謎の世界宗教の全貌
>世界初の包括的入門書

>ゾロアスター・イエス仏陀の思想を綜合し、古代ローマ帝国から明代中国まで東西両世界に流布しながら今や完全に消失した「第4の世界宗教」。「この世」を悪の創造とし全否定する厭世的かつ魅力的なその思想の全貌を、イラク・イラン、中央アジア北アフリカ、ヨーロッパ、中国に亘りあまねく紹介する世界初の試み。

>目次
>プロローグ――マーニー・ハイイェーとマーニー教
>第1章 マーニー教研究資料の発見史――西域の砂漠から南シナ海沿岸の草庵まで
>第2章 マーニー・ハイイェーの生涯――「イエス・キリスト使徒」にして「バビロニアの医師」
>第3章 マーニー・ハイイェーの啓示――現世の否定と光の世界への帰還
>第4章 マーニー教の完成
>第5章 マーニー教教会史1――エーラーン・シャフル
>第6章 マーニー教教会史2――ローマ帝国
>第7章 マーニー教教会史3――ウンマ・イスラーミーヤ
>第8章 マーニー教教会史4――中国

内容は固そうだが教祖のマーニー・ハイイェーもさることながらその父パティークが実に個性的。
・パティークはパルティア貴族の出身でマーニーが幼少の頃、奥さんとマーニーを放って男性のみの新興宗教団体に没頭
・マーニーが4歳位の時、息子を宗教団体に連れ出し以後奥さんとは不通状態に
・マーニーが宗教団体に異を唱え飛び出すと説得しに行くが何故か自分も同調し一緒に飛び出す。
・マーニーのインド方面への布教に同行し布教後、一緒にペルシャに戻るが何故かすぐにインドへ戻るも1年足らずでペルシャに帰ってくる。
・その後シリア方面に突然布教に出るもまた1年足らずで戻ってくるという状況だ。
これが西暦300年ごろの人の行動なのでその突発ぶりには驚く。キリスト教使徒行伝でもここまできままに動く人は居なかったからな(笑)
教祖のマーニーも父に劣らず変りもので新興宗教団体時に働かされた農業には嫌な思い出しか無いらしく農業は光の力を奪うものだと説いたり、食べ物の中でも自分の好物らしきものは光の力が溢れていると言ったりしていて実に個性的だ。
歴史としてはキリスト教ゾロアスター教に迫害されたりイスラム教に圧されたりしたせいで西アジアでは忘却され、また各宗教の神話を取り込んだせいで末期となった中国では仏教化してしまい消滅した悲運の世界宗教となるのですが、最近日本でもマニ教の宗教画が発見されるなど興味深いことが多く出ています。
色んな宗教の歴史本がありますがここまで面白い本は無いのでおススメです。

マニ教 (講談社選書メチエ)

マニ教 (講談社選書メチエ)